どうも、n o v a です。
今回は接客業を通じたホスピタリティについてのマインドセットの講義となります。接客業と聞くと、サービス精神だとか、お客様は神様だとか、そういったお客さんに迎合するようなイメージを持つ人も少なくないのではないかと思います。
僕自身がそのようなイメージを持っていたためどこか接客業が苦手で、
サービス業などの仕事も何が楽しいのかわからなかった経験があります。
お客さんも嫌なら来なければいいという気持ちで、
あくまで対等な関係でいなければ
お客さんはどんどん付け上がると思いながら接客業をやっていた時期がありました。
あなたもどこかで同じような気持ちを持っているかもしれませんが、
結論から言うとホスピタリティという観点からきちんと考えていくと、
丁寧な接客でお客さんを付け上がらせることにはならないし、
むしろそこにはWin-Winの関係性が成立つことになります。
それはどういうことなのか、今回は接客業の在り方をホスピタリティという観点から見ていきます。
接客のイメージが変わる
ホスピタリティといって真っ先に名前が挙がるのがリッツカールトンではないでしょうか?言葉がけから、サービスの在り方など書籍もいくつか出ていますから読んだことがある方もいるかもしれませんね。
リッツカールトンについていえば、超高級ホテルで有名ですし、もちろん一流のサービスを提供しています。
僕は当初、接客ってお客さんは上の存在で、サービススタッフは下から仕えるものという
認識を持っていました。
でもリッツカールトンという超高級ホテルの従業員の人たちが
ひたすらにお客さんの下から仕えているかといえば全然そんなことはなんですね。
ここがとても面白いところであって
僕の接客に対するイメージが変わった瞬間なのですが、
リッツカールトンでは
「紳士淑女」であるお客様にお支えする私たちも「紳士淑女」である
と定義しているんですね。
これはどういうことかと言えば、
お客様と同じ目線でコミュニケーションを取りましょうということに他なりません。
僕が思っていた下から仕えるというイメージが大きく揺らいだ瞬間でした。
つまり「紳士淑女」であるお客様にお支えするためには
自分も「紳士淑女」のステージにいなければいけないということです。
同じ目線に立てないですからね。
そしてリッツカールトンでは、ちょっとした会話をとても重要視していて
そういったお客様と従業員との間の信頼関係が生まれる瞬間というのは
何気ないコミュニケーションから始まるとしています。
「スタッフと話すのが楽しみでリッツ・カールトンに泊まるんだ」
というお客さんも多くいるようですが、そういう個人と個人の信頼関係というものが
ホテルに対しての信頼関係にまで高まっていくからなんですね。
ノーと言わない
ノーと言わない。このように言われてどのように感じるでしょうか?
もし上司から、お客様のご要望にはノーと言ってはいけません。
と頭ごなしに言われたらちょっと微妙な気持ちになるかもしれませんよね。
でも、ここでも
お客様の視点に立ったサービスを心がけるという延長線で考えてみると
異なった視点が生まれてきます。
例えば、こちらの既存のサービスでは行っていないことを
お客様が要求してきたとします。
そこでお客様の視点に立って考えることは、
一見するとノーなことであっても、それをイエスに変えるという
アイデアが必要となりますから、
結果的に創造力が必要な仕事となってきます。
実際のところ、接客業には
言葉遣いや、態度のマニュアルを熟知すること以上に
創造力や想像力が必要とされます。
一流のサービスを提供できるかどうかは
このクリエイティビティやイマジネーションの力に比例します。
どういうことかと言えば、
一流のサービスを行うことができるスタッフというのは
お客様のご要望を受ける前から察してサービスを開始します。
タバコを吸い始める前から、灰皿を用意する
タバコを取り出す前から、ライターを用意しておく。
このようなことは
実際にスタッフの頭の中でシュミレーションができているからこそ
可能になるわけですよね。
「灰皿はどこですか?」
と聞かれてから、
「今お持ちします」
では遅いですし、そこには創造力も何も働いていません。
でもそれは一流ホテルの話でしょ?
それは一流ホテルの話で、普通のお店での接客には関係ないんじゃないの?そう思われるかもしれませんが、
そもそも接客というのが、お客さんに何かを言われてから動くというのであれば
それはお客さんの小間使いのようになってしまいますし、
同じ目線をもった関係とは言いがたくなります。
同じ目線に立つからこそ
そのような小間使いの関係ではなく、
お客さんへの働きかけができ、
またクリエイティブな接客というものが可能となります。
「でも居酒屋などの場合は
そもそもお客さんがそんなこと気にしていないじゃん」
それもその通りです。
リッツカールトンのブランド戦略は明確にトップ5%の顧客コアターゲットにし
彼らを満足させるサービスを提供するということです。
トップ5%というのは、経済的な余裕や社会的な地位を含めて
トップグループに入る方々を指しています。
そして巷の居酒屋はそれを満たすサービスを提供しているわけではないですし
値段が安くて、そこそこ美味しいからという理由でくる人々がターゲット層ですから。
そこは、やはりあなた自身がどこでどのような接客をしたいのか、
ということに尽きると思います。
酔っ払ったサラリーマンや、
大声を上げる学生で盛り上がる職場を求めるのか、
一流ホテルのような職場を求めるのかは
人それぞれだと思います。
一風変わった面接
サンフランシスコでリッツカールトンが開業するときのことです。そこでの入社試験会場の雰囲気は
殺風景なオフィスではなく、開業準備中の大宴会場!
入り口にはドアマンが2人立って応募者をお出迎え。
中にはグランドピアノが置いてあり、
プロのミュージシャンが静かに演奏を続けています。
いざ面接に入ると正装に着替えてウエイターに扮した
管理者たちがコーヒーやジュースを運んできてくれます。
このような特殊な雰囲気のもと
入社試験が行われました。
なぜ入社試験のためにここまでやる必要があるのでしょうか?
おもてなしの心からここまでやる必要があるのでしょうか?
もちろんそれもあったのですが、
実はこれには別の理由もありました。
このときの募集人数は350人。
それに対して約3000人の応募者がいたのですが、
会場の雰囲気をみた半数の人が
「自分には合わない、もっと普通のホテルで働いたほうが気が楽だ」
といって帰ってしまったのです。
リッツカールトンは言葉を使わずに、
会場の雰囲気でもって、自社の理念や価値観を伝えたということです。
そして、それなりのステージのお客さんを相手するためには
自分のステージも高めていかなければいけないということです。
自分自身の意識を高めていくことで
ステージの高いお客さんを満足させるサービスを行うことができ、
またステージの高い人達と接することで自分もステージを高めていくことができます。
しかし今の自分が心地よい場所に留まろうとすれば
結局は今の自分と同じステージの人達が集まる場所で
彼らを相手に接客を行うしかなくなるでしょう。
サービスとはインプロヴィゼイション(即興演奏)
サービスを提供する人は、オーケストラの演奏者か、それともジャズプレイヤーのどちらを目指すべきでしょう。
オーケストラの魅力とはそのシンフォニーにあります。
各楽器が正確なタイミングで正確な音を奏でることで見事に調和し、
メロディーを奏でていきます。
一方でジャズとは感性がぶつかり合い、縺れ合い、
全体としてどのような音楽が生み出されるのかはそのときになってみないとわかりません。
つまりは即興演奏の世界ですね。
オーケストラの正確さは楽譜に書かれた音符に依存します。
サービスで言えばマニュアルですね。
書かれたマニュアルを全員がきちんと守ることで
そこには完璧な調和が生み出されます。
しかし、サービスにおいてはスタッフ一人一人が
しっかりとマニュアル通りに仕事をこなしたとしても、
お客さんからしたら当然のことにすぎず、
そこには驚きも感動も生まれてきません。
全員がアドリブを行うということは、
クリエイティブであることが要求されます。
その場に応じて、個々がサービスのシナリオを描くことができ
自分の感性を発揮することができます。
複数のスタッフとの感性と感性が呼応し、
そこに調和が生まれたとき、
きっと最高のおもてなしが生まれるに違いありません。
ただし、注意が必要なことは、
それら即興演奏というのはデタラメではいけません。
アドリブは基本的な演奏に基づいた上で行いますし、
それは抽象画家であってもしっかりとしたデッサン力を持ち合わせていることと一緒です。
サービスにおける
基本はマニュアルをしっかりとマスターすることです。
その上で想像力をもって
感性を全開にすることで単なる接客が
おもてなしに変化していくのだろうと思います。
ホスピタリティとは
こうやって接客というものを考えてくると、ホスピタリティというものは、
心からのおもてなしをすることだということが見えてきます。
先に単なる接客は、想像力によっておもてなしに変化するといいましたが
その想像する方向性は何を指針とするかと言えば、
つまるところ「愛情」ではないかと思います。
でも一方的な愛情ほど危ないものはないですよね。笑
だからこそ相手の目線に立つ必要があるということです。
相手の目線に立つことそのものが想像力無くしては難しいものです。
圧倒的なイマジネーションの力が
単なる接客をおもてなしに変えてくれるということです。
そして心からのおもてなしこそが
ホスピタリティそのものだということですね。
今回の話は以上となりますが、
この内容を受けて、接客に対するイメージが変化すれば
例えば飲食店やショップなどにお客さんとして行った時にも
自分であればどのように接客するだろうか、
この店員さんの接客はどうだろうか、などと頭が働くようになってきます。
接客という行為を通じて、
自分よりもステージが高い人と接することで
自分のステージも高まるし、
ステージが高い人を満足させるだけのサービスを行うだけに
自分が成長できれば、さらに高いステージの人と接することができます。
逆に、そのような高いステージのサービスに触れたときに
ステージが低いお客さんだとちょっと恐縮したり、
自分にとってはこのお店は敷居が高いなと感じ
自然にそのお客さんにあったステージのお店へと足を運ぶものです。
ですから、やはりここでも大切なことは
自分自身のステージを上げていく意識ということですね。
高いサービスを行えるように自分自身が「紳士淑女」たり得れば、
お客さんも「紳士淑女」が寄ってくるとも言えますし、
逆に自身が「紳士淑女」たり得なければ
「紳士淑女」を感動させ満足させるだけのサービスを行うことは
難しいということです。
これは接客だけでなく、あなたがネットビジネスを行う上で、
特にもブランディングの方向性を決めるためにも有効ですので、
ぜひ何度も読んで、
しっかりと腑に落としくださいね。